(前回はこちら)
最初、唇だけをくっつけ合っているところで、ぐいっと舌を入れると、ひとみは自分の舌をからめてきます。やはりちょっとお酒臭い。
でも女性のお酒くさい息は嫌いではありません。
そのまましばらくモミモミ、レロレロ…としていたら、急にひとみは我に返ったようにはっとして、
「すみませんごめんなさい!もう戻らないと」
となってしまいました。
「あ、じゃあ連絡するから、また会えるかな」
「さあどうでしょうね、それじゃ・・・」
と、ひとみは先に出て行きました。
まあまだ続きはあるだろうし、今日の所はこの辺でいいでしょう。
それから半月ばかり経った9月初旬頃。
例の社内宴会のスタッフで、反省会という名の飲み会をしました。
ひとみには予めメールで2人だけで飲み直そうと伝えていて、いちおうOKはもらっていたものの、現場で誰かに誘われたらひとみはそっちに行ってしまうかもしれません。
しかし飲み会がおひらきになり会計が済んだら、ひとみは「じゃあみなさん、お先に失礼します」と宣言し、独りでスタスタと帰っていきました。
僕も「じゃあ僕もこれで。お疲れさま」と言ってひとみとは違う方向に歩き出し、すかさずひとみにメール。
すると「どこで待ち合せます?」と返信があってホッ。
ということで、うまく2人で落ち合うことができました。
次のお店ではまた飲み、前回に引き続いてかなりいい雰囲気に。
下ネタもOKで、試しにハメ撮りの話をしたところ「変態ですね」と言われたものの、なんとなく興味津々な様子。
これはいくしかない。
そろそろ終電が気になるところで駅に向かいつつ、途中でラブホ街を通りました。
もちろんそうなるように計算してお店も決めていたのです。
ちょうどお目当てのホテルの入口の前を通りかかった所で、外側からひとみの身体をぐいっと押し込みました。
「あっ、ちょっ、ちょっと」
と驚いているひとみの次の言葉に、今度は僕が驚きました。
「私、彼氏いるんです」
えっ、そうだったの?
さてどうしたものかと思っていたら、
「うーん・・・」
と、ひとみは急に下を向いて考え込んでしまいました。
(こりゃあ無理か、終電間に合うかな)と考えたのですが、なんかひとみは一人で勝手に悩んでいる様子。
幸い、このラブホの入口には目隠しの壁があり、ラブホの入口の前にいる僕たちに気づく通行人はいません。
そろそろ帰らないと終電が・・・と本気で思ったところでひとみは顔を上げ、今までにない真面目な顔で
「本当にいいんですか?後悔しても知りませんよ」
と。
いいに決まってるじゃん、と思っていたのですが、そのひとみの言葉の意味は後で知ることになるのでした。
さて。
幸い知人に見られることもなく、部屋に入りました。
お互い別々にシャワーを浴び、入れ違いに歯を磨き、それぞれバスタオルをまとってベッドに並んで座ります。
「あ、ビデオ撮ってもいい?」
と聞くと、
「えーっ?うーん、まあ、顔写さないでくれれば・・・」
とのこと。
最初からがっついては仕損じます。
「じゃあ、あそこのテーブルに置いて、遠くから撮るから大丈夫」
「うん・・・」
ということで、不承不承ですがとりあえず撮影開始。

しばらく上半身だけはだけたまま、顔を近づけて愛の言葉の交換。
そして、唇が合わさりました。

この瞬間はいつもドキドキします。
(つづく)
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