至らなかった話

結局何も(その3)

(前回の話はこちら

前回の残念なカラオケの後、僕はM帆に車で送ってもらったのですが、結局家の前で車の中でM帆にフェラをしてもらい口内射精をしていたので、性欲としては発散できていたことになります。
とはいえ興奮度や満足度はユリとは比べ物にならないでしょう。
僕もようやくユリの気持ちに気づき、例えそれが一時の気の迷いであっても構わないし、むしろ今だけだと思うと焦ってしまいます。

次の機会は意外に早く訪れました。
冬のイベントに向けた交流会のスタッフ会議で、会場下見の後に飲み会となったのですが、やけに盛り上がってまた遅くなりました。
僕は終電が近いし、若いコたちでカラオケに行こうと盛り上がっているので邪魔しちゃ悪いと思って帰ろうとしていたのですが、飲み屋から出たところでユリが「sucameさんも行きましょう!」と腕を引っ張ってきました。
「いや終電が」と言うものの、実はチャンス。
なぜなら今日は、もともとM帆が体調不良で会議に来ていなかったのです。
案の定、ユリは「うちに泊まってけばいいんですよ、タクシーですぐですから」ということで、僕はカラオケではみんなの歌など耳に入らず、いつ終わるかとそればかり考えてました。

カラオケが終わったのは午前2時、そこからタクシーに乗り場に向かったのですが、なんとベロベロに酔ったS君もついてきたのです。
「S!お前歩いて帰れるだろ!」と言ってもすでにSはふらふらで、置いていくわけにもいかず仕方なくタクシーに引っ張り込みました。
まあユリと2人でタクシーで帰ると後でいろいろ噂されてしまうのでこれでいいのですが、でも内心は穏やかではありません。
寮に着くとSは意外にしっかりとした足取りでしたが、ユリの1Kの部屋に入ると、ユリのベッドに真っ先にSが倒れ込みました。
「おいS!お前は床だよ!」と言うも、Sはさっそくガーガーといびきをかき始めます。
ユリは「まあいいですよ、sucameさん床でいいですか?」と言い、2人が寝るにはちょっと狭いフローリングの床に、予備の布団を敷いてくれました。
ユリがユニットバスでシャワーを浴びてる間、僕はスーツを脱いでTシャツとトランクスになってタオルケットをかけて寝に入ります。
ですがシャワーを浴びるユリの姿を想像すると眠れません。
シャワーから上がったユリはそのままユニットバスの中で歯を磨きパジャマに着替えたようで、ユニットバスから出てくると部屋の電気を消して、そのまま布団にくるまる気配がしました。
部屋の中はSのうるさいイビキの他、たまに寝返りをうつような衣擦れの音がします。
お酒も飲んだし夜も遅いのに、ユリのことが気になって寝付けません。
そのうち暗闇に目が慣れてきて、部屋の中も見えるようになってきました。
ユリのほうに寝返りを打ってみると、ユリは薄いタオルケットをお腹までしかかけておらず、仰向けになっていてもパジャマごしに胸の膨らみが分かります。
(やっぱ胸でかいんだろうなあ)と思っているうちに、ガマンできなくなってしまいました。
嫌われてもいいやと、そっと左腕を伸ばし、おっぱいの上に手を当てます。
しばらくそのまま迷っていましたが、そのまま腕の力を抜いて胸に掌を押し付けようとすると。
「ざざっ」という音がしてびくっ。
なんとユリが僕の左腕を掴んできたのです。
(ああ、ばれた。押しのけられるか)
と思ったら、ユリは僕の手を自分の胸に導くではありませんか。
パジャマの上から右のおっぱいを大きく手で包み、力を入れます。
弾力がある。
仰向けになってもこんなに形が分かるおっぱい、彼氏が憎らしく思えてしまいます。
酔いと眠気が吹き飛び、左手でもみもみとおっぱいを揉みしだき、それじゃあもっとと思って起き上がろうとすると
「がばっ」という異様な気配と音。
Sが急に起きたのです。
慌ててユリと離れたのですが、Sは口の中をムニャムニャさせながら、よろよろと僕とユリの間を通ってユニットバスに入っていきました。
そして「オエッ!オエエ!うっ、オロロロロロロー!」と嘔吐し始めました。
これは気になって続きをするどころの話ではありません。
幸いどこかにまき散らすとか、そのままユニットバスで寝てしまうとかいうこともなく、Sは一応ユニットバスの洗面台でうがいをしてからフラフラとベッドに戻っていき、またイビキをかき出しました。

さてどうしようかと思うと、またSがガバっと起きて何やら訳の分からないことを口走り、そしてまたバタンとベッドに。
さすがに落ち着いて先に進むどころではありません。
「ふふっ、今日はもう寝ますね」とユリ。
僕は余計に寝られなくなってしまい、悶々としたまま朝を迎えました。
朝6時に起きるとSはまだいびきをかいていて、スーツを着てユリの家を出て職場に向かいましたが、さすがに二日酔いと寝不足できつかったです。

その後、ユリは僕に対してそっけなくなり、さらに別の企業の男子と付き合いだしたようで、そのうち異業種交流会にも顔を出さなくなりました。
結局SEXに持ち込むことができず無念ですし、ユリが付き合って結局結婚することになる男子は不細工なうえにオラオラ系で、ひどくがっかりした記憶があります。
ちなみに後で、あのユリの家に泊めてもらった際、僕が先に出勤してからユリがS君とSEXしていたらしいことが分かりました。
なぜ知ったかというと、S君が別の男子に自慢していたのが回りまわってきたから。
なんだ、ユリは近くにいたら誰でもよかったのか。
なのに僕は何度も邪魔され・・悔しいったらないです。

後年、M帆に届いたユリからの年賀状には、ユリの2人のお子さんの写真がありましたが、上の子はユリそっくりのかわいい男の子、下の子は旦那そっくりの誠に失礼ながら不細工な男の子でした。

(おしまい)

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