至らなかった話

惜しかったような惜しくなかったような

34歳の頃の話です。
会社の隣の部署に、20代後半の女子のMちゃんがいました(下の名前忘れたので苗字で)
Mちゃんが人事異動で隣の部署に来る前から存在は知っていて、何故かと言うと、僕の後輩男子Y君が社内報でMちゃんを知って「この人と付き合いたい!」とずっと言っていたから。
で、偶然Mちゃんが転属で近くになったため、俄然Y君が張り切ってアタックをするものの、女性と付き合ったことのないY君はアプローチがうまくなく、おまけにMちゃんは歳下男子は恋愛対象でないそうで、僕も何度か飲み会の席を設けたものの、うまくいきませんでした。

Mちゃんがどんな女性かというと、顔はそこそこ美人顔でメイクをしっかりすれば相当モテそうななものの、女子らしいおしゃれにはまるで無頓着、性格や言動は男子高校生みたいな感じで、ちっとも女子らしくありません。
事実、Mちゃんは同世代の女子とは話も性格も合わずに全く関わることもなく、いつも一人か、あるいは男子と行動していましたが、もちろんそれにしても男女の仲というわけでもありません。
ある飲み会の時にMちゃんに趣味を聞いたところ、オンラインゲームやゲーセン通いということで、案の定、男子高校生みたいなプライベートのようでした。

が、そのうち僕はMちゃんに好かれるように。
ある時終業のチャイムが鳴り周囲がわさわさしだした頃、僕は残業なので書類に向かっていたのですが、そこにMちゃんが来ました。
何か話があるような雰囲気なので隣の空いたデスクに座らせて、書類整理をしながら話を聞いてみるも、Mちゃんは一向に本題に入りません。
そのまま30分も雑談が続いてしまい、周囲の目も気になってきたので、「ちょっと飲みにでも行くか?」と残業をやめてMちゃんとサシ飲みに・・ということが2回も続きました。
もちろん飲んでる時も、特に相談があるでもなく、ただ雑談をするだけ。
また、フロアの若手で飲みに行っても、Mちゃんはいつも僕の隣に座ってきます。
そのうち周囲の男子達も気づいてきて、おまけに男子達にとっては女子らしくないMちゃんは恋愛対象でないこともあり、若手男子達が僕に「やっぱsucameさんはMちゃんっスよね~」とか茶化してくる始末。
僕としても、特定の相手がいない時期でもあり、またMちゃんのように女子っぽくないコも気楽でいいかなと思うようになりました。

ある休日、Mちゃんが僕のアパートに来ることに。
とあるゲームをしたいのですが、僕がそのゲーム機を持っていないという話をすると、「じゃあ持っていくよ」ということに。
で、僕のアパートでMちゃんとゲームに興じ、夕方になる頃には会話も減り、少し間が持たなくなってきました。
すると、なんとなくMちゃんの距離が僕に近づいているのに気づきました。
そのうち、お互いコントローラーを持ちながら、肩と肩を寄せ合うような感じに。
これって、そういう雰囲気だよね・・と、コントローラーを置いてMちゃんを見ると、Mちゃんも無言で僕を見つめてきます。
そこで(これはそういう流れかな)と僕がゆっくり顔を近づけると・・
「!!」
Mちゃんは下を向いてしまいました。
耳が真っ赤です。
耳が真っ赤ということは・・と思って、肩を抱いてなおもキスの体勢にしようとすると、Mちゃんはさらにぐっと下を向いてしまいました。
それを繰り返すこと数分。
なんだか白けてしまいました。

その日はなぜか普通に話をして車で送り、そしてその後は会社でも普通な感じで全く進展も何もありません。
そのうち僕が他の女子にうつつを抜かしたりするうち、Mちゃんは同じ部署の引きこもり男子(本当に引きこもっているわけではないですが)とうまが合うようで付き合いだし、そのまま結婚したのでした。
そのMちゃんも今ではお子さんが3人も生まれ、仕事もやめて元気にお母さんをやっているようです。
あの時なし崩しでなく、正式に「付き合ってほしい」とか言ってたら、発展してたのでしょうか。

(おわり)

コメント

タイトルとURLをコピーしました