至らなかった話

かすりもしなかった話(その6)

(前回の話はこちら

そして付き合って間もなく、Y子の会社では春の人事異動が。
Y子は、その社内のとある部署への転属を希望してるようでした。
その部署はY子と同じ会社のKちゃん(楽しいマッサージの子(こちら))も言っていましたがものすごくハードだったので、僕はそれとなく引きとめていました。
なぜって、忙しいとこに異動されると、会ってもらえなくなりそうだったので。
それは置いておくとしても、このままだと思いだけが先行しているY子はメンタルになるかもしれないと予想し、そういう話もしていました。
でもY子は

「いいんです、もともとここに来てからずっと(その部署に)行きたいと思ってましたし、(その部署の)管理職にも話をしてありますから」

と、ずいぶんと強い意志。
それまでも、Y子の言葉の端々には「出先職場よりも、中枢職場のほうが上」「中枢職場に行かないとまともな仕事ができない」という思いがちりばめられていました。
僕はずっと出先職場なのですが、中枢職場に長年いた人が出先に異動してくると「使えない」ことも多々あります。
そんな経験も踏まえ、それとなく「必ずしもそうでもないんだよ」とは諭してみましたが、ダメでした。
彼氏の助言よりも、上司の助言を信じてるみたいです。

で、人事異動。
Y子は希望通り、そのハードな部署に異動になりました。
とりあえず、新しい部署の愚痴でも聞こうかと思って会う約束をしようとしたのですが、返事は

「すごくハードなんで、疲れちゃって会えません」

と。
だから言ったじゃん。
それからは、しばらく携帯メールを送るだけにして、様子を聞く程度にしました。
そのうち慣れてきたら余裕も出て、会う時間も出来るだろうと期待しつつ。
でも、最初のうちは返事も来たのですが、だんだん返事が来なくなりました。

4月の半ばに一度電話をしたのですが、Y子は疲れているようで、早く切りたそうだったので、

「何かあったらいつでも言ってね」

とだけ言って、電話を切りました。
その後は何度メールを送っても、全然返事がきません。
で、5月のあたま、急にY子から電話がありました。
音信不通だったのに急に電話があるなんて、こりゃ別れの電話だなと思ったら、そうでした。
僕の「存在が重いんで、身軽になりたい」んだそうです。
まあ、僕としてもいろいろとムカついていたこともあり、そのまま

「うん、わかった。じゃあね」

と言って、そのまま別れが成立しました。
唯一心残りがあるとすれば、キスも何もしていないことくらいでしょうか。

で、その後。
Y子を連れてきたKちゃんと話す機会がありました。
Y子との顛末を話すと、Kちゃんはこんな話をしてくれました。

「知ってたよ。だってY子、”sucameさんからのメールがうざい。疲れてるのになんでそれが分からないかなー”ってグチってたもん」

ああそうかい・・・・・・。

ちなみにそれから10年後。
Y子の勤める会社に用事があってお邪魔した際、偶然そのY子を見かけました。
Y子も僕に気づいて避けるように向こうに行ってしまったのですが、Y子はブルドックのように頬がたるんだオバサンになっていました。

わっははは、ふう。

(おしまい)

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