至らなかった話

結局そういうものです

36歳の時の話です。

とある仕事で一緒に組むことになった、24歳の女子。
たまに仕事でしか話したことがない女子だったのですが、たまたまその女子を含めて何人かで飲みに行く機会に恵まれました。
彼女が言うには、
「あたし、オトコ運が悪いんですよ」
だそうで、今はフリーとのことでした。
そして
「sucameさん誰かいい人いませんか?真面目で頼れる人なら歳上でも歳下でも誰でもいいんです」
とも。

実は僕は、彼女のことが以前から気になっていました。
それが偶然その子と一緒に仕事を組むことになったので、天に感謝したものです。
いやあ、日ごろの行いを良くしていると、いいことあるもんだ!
よしシゴト頑張ろう・・

ということで、その仕事(とあるイベントにブースを出展する)が終わった後。
その時は自家用車だったのですが、片づけも終わり、じゃあ送っていくよ、ということに。
僕としてはその仕事には馴れていたのでそれほどでもなく、またお客の反応もけっこう良かったのですが、若く未経験の彼女にとってはかなりしんどかったようです。
そのせいか、帰りの車内では
「もうsucameさん、神です」
などとかなり持ちあげられ、また仕事の愚痴もききました。

「ファミレスでメシでも食ってく?」
と提案すると、あっさりOKになって、たまたま道沿いにあったファミレスへ。
その子は普通にお酒を飲む人だったので、まずビールを注文。
僕もビールが好きですし、昼間は動き回って大汗かいて疲れたので飲みたかったのですが、車なので飲めません。
なので
「キリンのフリーで」
と注文。
すると
「申し訳ありません。ただいまノンアルコールビールは切らしておりまして」
なんと。
「んじゃあ・・ウーロン茶でいいです」
「かしこまりました。申し訳ありません」

ウェイターさんとそのやりとりをしたら、なんと彼女が、両目を真っ赤にして涙をぽろぽろしだすではないですか。
「ちょっちょっ!・・どうしたの?」
そう聞くと、彼女はこう答えました。
「sucameさん、こんなにいい人だし頑張ってたのに、最後までこんな目に遭うなんて・・それでもやっぱりいい人すぎるじゃないですか・・」
そんなもんかな・・?

でもまあ、それで一気に彼女のことが愛おしくなってしまい、もう歯止めが効かなくなってしまいました。
彼女も初めて経験した困難な仕事で、いろいろ指導した僕にすっかり好意を抱いたようです。
そこから彼女の家までの車内は、まるで付き合ってる男女のような、そんな暖かい空気でした。
これはいい雰囲気です。
既にフリーという情報は得ているし、もう行くしかない。
その子の家の近くの公園の前に車を停めて、「あ、ちょっと待って。あのさ・・」と一思いにアタックしてみます。

返事はこうでした。
「すみません。アタシ今、ヒトを愛することができないんで・・。じゃ失礼します」
・・なんだって?

後で聞くところによると、その子はえらい面食いで、しかもイケメンとなると見境なくグイグイ行く女性なんだそうでした。
でもそれから数日後、たまたま職場でその子と会話をした時に口臭がものすごく、それでなんだか吹っ切れました。
口臭よありがとう。

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