至らなかった話

結局何も(その1)

一方的に好かれ、相手がいない時だけSEXに応じていたM帆(こちら)は、ちょくちょく後輩を異業種交流会に連れてきてくれました。

ユリもその一人で、就職したばかりの22歳だったかと記憶しています。
ユリは最初は先輩に言われて仕方なく参加したようですが、ユリは美人で胸は大きく性格が明るかったので、たちまち男子たちを取り巻きにしてしまったのでした。
僕ももちろん下心の含んだ目でユリを見ていたのですが、ユリは僕のような年上(当時29歳)には興味ないだろうと、自分から気持ちを押さえていたものです。

それからしばらくして、ユリとM帆とユリが仲たがいをするという、僕としては困った事態になります。
原因は異業種交流会の中でM帆が好意を寄せていたB君で、そのB君に対してユリが親しくしていたことから、M帆が嫉妬した・・という経緯。
双方の言い分を分析した結果、ユリにはそんな気がなく、M帆のただの思い込みだということが分かりました。
そこでまずM帆に会い、ユリにそんな気持ちはないしM帆のほうが歳上なんだから怒りを収めてほしいと説得しました。
それでM帆が誤解を解いてくれたのですが、「ユリはいろんな男とすぐヤッちゃうから、B君ともそうなのかと疑った」という話。
もしかすると僕にもチャンスがあるかも、と思ってしまいます。

その次にユリに「M帆のことで話がある」と伝え、2人で飲みに行きました。
そこで「M帆も間違いに気づいて反省しているので許してやってほしい」と伝え、理解してもらえました。
大事な要件が決着し、お互いお酒も進んでいたので、かねてから用意していた話を切り出します。
「えっ、私と遊びたいっていうことですか?」
ユリはひどく意外そうな顔をして、そして
「ごめんなさい、いま好きな人がいるんです」
というしごくまっとうなお返事で、僕の下心は失敗に終わりました。

それからも異業種交流会関係で何度かユリとは顔を合わせましたが、特に深い話はしていません。
ただ、男子たちや女子たちから、ユリが誰それと付き合ったとかなんとか、そういう話は入ってきていました。
飲み会やスタッフ会議でユリと会うと、ついつい「ああ今はどんな男がこのおっぱいを揉んでるのかな」というようなことばかり思い浮かべてしまいます。
やっぱり年が上だとだめなのか。

その次の春、異業種交流会で各企業の新入社員歓迎会を開催しました。
スタッフメンバーが勤めている企業の大会議室を借り、そこにケータリングの料理やドリンクを並べるという簡素なスタイルですが、同世代の男女が集まればそれだけで十分に楽しいし華やかになります。
50人くらいが集まって会がスタートし、どこかの企業の割と偉い人が歓迎のあいさつ等の最中のこと。
僕の隣に立っていたユリがカップアイスを取ってフタを空け、スプーンですくって一口入れたのですが、何を思ったか突然「これ食べます?」とその食べかけのアイスとスプーンを僕に差し出すのです。
(えっ?えっ?一体なに?)
と困惑したものの、僕が汚らしくて断ったと思われたくないし、それよりもむしろラッキーなのでありがたく頂いたのですが、近くにいたM帆がすごい形相で僕のことを見ているのが横目で分かりました。
その後の歓談中も、ユリは若い男子に囲まれることはありましたが、それでも時折僕の近くにきて、手にとった果物(何かは忘れた)を「はいsucameさん」と口にアーンしてくれたりと、なんかまるで僕に気でもあるのかと勘違いしてしまいそうになりました。
でもいつぞやお誘いした時には断られたし、どういう顔をしていいのかよくわかりません。
おまけに、僕にさも彼氏のように接してくるM帆も機嫌が悪くなって困ります。

その後、大人数でドライブに行った時、ユリを寮まで送迎したのですが、そのお礼だと言ってなぜか僕に昼の弁当を作ってくれたのです。
でもユリと一緒にM帆も送迎する身だったので、変な手出しはできません。
おまけにM帆はそのせいでドライブ中ずっと不機嫌でした。

(つづく)

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