至らなかった話

結局何も(その2)

(前回の話はこちら

初夏。
僕と友人C君、そしてユリとの3人で、深夜からドライブに行きました。
交流会の会議の後、C君がユリにドライブに行こうと誘っていたのですが、ユリが「sucameさんの車に乗ってみたいんですよね」と言ったので、ユリ狙いなもののとっかかりのなかったC君は、仕方ないといった表情で僕にも同行を願い出てきました。
ユリはC君には寮の住所を教えていなかったので、まず僕がユリを寮まで迎えに行き、C君と合流してからはユリをC君の車に乗せ・・という感じで走りにいきました。
夜が明けてからはドライブインで朝食にし、日帰り温泉で風呂に浸かり、そして午後に帰ってきたのですが、ユリはその当時彼氏がいたはずで、C君には彼氏がいると言っていたのを聞いていたのですが、僕の車に乗った時には「いま彼氏いないんですよ」と言っていました。
僕の聞き違いかと思い、ユリを降ろしてからC君とファミレスで昼食にした時、「ユリさんって彼氏いたよね?さっき僕の車の中ではいないって言ってたんだけど」と訊いてみました。
するとユリ情報をせっせと集めているC君は何かを知っているようで、機嫌を悪くしたのか「俺が知るわけないじゃん」と話はそこで切られてしまいました。

後で知ったのですが、ユリは男子からはモテるものの、ユリが興味を示すのは彼女持ちの男子ばかりだそうで、略奪欲が生じて男子に好意を持ってしまうという評判でした。
そしてこの時ユリは、自分の先輩であるM帆が僕と付き合っていると思っていたらしく(半分は事実で、身体の関係だけでしたが)、そのせいで本来は興味の外である僕にモーションをかけていたようなのでした。
ああ、それをその時知っておきたかった。

世間がいわゆる夏休みに入った頃。
僕が午前2時くらいまで仕事をして、車で帰る前に何人かの交流会メンバーにメールをしたところ、ユリから携帯に「お疲れ様です。よかったら、今から〇〇家(ラーメン屋)にいきませんか」とメールが。
そこで眠いのを我慢して寮まで迎えに行き、日勤が深夜に及んだユリと2人で深夜のラーメンを食べました。
この時僕はユリの好意に気づいてなく、図々しくユリの部屋に上がらせてもらうことなど思いもつかず、眠いこともあって、降り際に何か言いたそうだったユリをそのまま寮に送って帰ったのでした。
ああもったいない。

夏が終わり次第に空が高くなってきた頃。
異業種交流会のスタッフでイベントの打ち上げを開催し、2次会まで参加し結構遅くなってしまいました。
あと十数分で終電だな・・と思っていたら、解散後になんと女子だけが固まっていて、その中のユリに「カラオケいきます!sucameさんも行きましょう!」と腕をぐいと引っ張られてしまいました。
カラオケルームでみんなのガナり声を聴きながら、もう終電に間に合わないことを悟ります。
するとユリが隣のソファに腰をかけ、「sucameさんうちに泊まります?」と驚きの発言を。
しかしチラとM帆のほうを見ると、M帆がものすごい形相をしてこちらを見ているではありませんか。
これは面倒なことになるなと思い、「いやありがとう、でもM帆が車で送ってくれるから大丈夫」とせっかくのあからさまな誘いをフイにしたのでした。

(つづく)

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